この数年、一時は衰退して消滅するかと思われていたアナログレコードが、世界中で爆発的に売れているそうです。
このところ日本でも若者を中心に、アナログレコードを買う人が急激に増えてきました。
日本レコード協会の調査によりますと、日本国内のレコード生産は2009年には10万2,000枚だったのが、2013年には26万8,000枚に増えました。
わずか4年間で3倍近くの生産量になったのです。
このまま需要が増え続けると、媒体の供給が間に合わなくなる心配さえ出て来ました。
なぜ取扱いが面倒で、しかも針を通せば確実に音質が劣化していくレコードが、このように売れるのでしょうか。
今回はそのあたりを、なぜ若者はレコードを買うのか、その理由と売れている曲や売り上げなどを見ていきましょう。
若者がレコードが買う理由は?
それでは、なぜ若者がレコードを買うのか、レコードが売れているその理由やレコードが若者を惹きつける、その魅力とはなんでしょうか?
CDやフラッシュメモリなどのデジタル媒体は、取扱が簡単で、音質はすごくクリアです。
いつでもどこでも、歩きながらでも聞くことが出来ます。
しかし、レコードはいつでもどこでもとはいきません。
歩きながら聞くことなど、とうてい無理なのです。
しかも、針が溝をこするスクラッチ音(パチパチ音)が耳につきます。
出典:http://girlschannel.net/topics/549971/
その上、理論上は無限の寿命のCDに比べて、レコードは1回針を通すごとに確実に劣化していき、いつかはすり切れて聞けなくなってしまいます。
それじゃレコードのメリットなど、なにもないじゃないですか?
その通りです。
上に書いたメリットデメリット「だけ」で比較すればですが。
レコードの魅力は、それとは別の所にあるのです。
レコードを聴く時には、CDを聴く時とは別の気持ちになる、とよく言われています。
レコード面はいつもきれいにしていないと、パチパチ音に悩まされますし、レコードだけでなく針にも寿命があります。
始終盤面を気にして掃除し、針先のゴミも専用のブラシで入念に掃除します。
なんとも面倒ですね。
ですが【その面倒臭さ】が若者がレコードを買う理由となっているようです。
その面倒さは音楽を聴く時の心構えとなります。
「今から楽しい音楽を聴くのだ」というような気持ちですね。
これはCDなどを聴く時にはあまりないものだろうと思います。
その面倒さによる心構えが、より深く音楽を楽しめるための要因になっているのではないでしょうか。
面倒臭いから良いなんて、なかなか考えれないですよね。
また、レコードの魅力の別の面としては、ジャケットが大きいためインテリアとなる、という点もあります。
ほとんどの場合、レコードのジャケットは非常に美しいデザインと構図で作られています。
好きな音楽のジャケットを部屋に飾るのは、その人の音楽性が表れていて、好ましいものです。
また、音質に関しても、理論的にはノイズがなくダイナミックレンジ(音の最大最小の幅)も広いCDの方が、レコードより遙かによい「筈」です。
ところが実際に聞き比べると、必ずしもそうとばかりは言えないのです。
アナログレコードは、CDのデジタル信号の間にある音(本来はそんなものはない筈なのですが)も聞くことができるという人がいました。
CDなどのデジタル媒体では、再生可能周波数帯やダイナミックレンジなどはきっちりと決まっていて、それ以上の周波数や音は、絶対に聞くことができません。
なぜなら、その信号は媒体に記録されていないからです。
しかし、アナログレコードは上限も下限もありません。
勿論アナログレコードでも、再生可能周波数帯やダイナミックレンジは、事実上ある一定の領域におさまっていますが、「それ以上の帯域」は存在しないのではなく、通常の人の耳では聞けない程度の「ごくごく僅かな音」は、記録されているのです。
よくCDの音は明瞭すぎて味気ないが、アナログレコードの音は暖かいなどいう意見がありますが、その「ごくごく僅かな音」があるかないかの差が、そのような意見になるのではないでしょうか。
この「ごくごく僅かな音」による些細な違いも、聴く人が聴けば大きな違いに感じます。
カメラの方のお話ですが、一昔前のカール・ツァイスの純正レンズは、驚異的なクリアさを持っていました。
しかし、レンズの測定装置による数値は、キャノンやニコンの方がむしろ上なのです。
それなのに、実際に撮った写真を見比べると、唖然とするほどツァイスのレンズの方がクリアなのです。
この理由は不明ですが、レコードとCDの音の場合とよく似ていますね。
このあたりも、レコードが若者に売れている理由の一つだろうと思います。
売れている曲や売り上げは?
アナログレコードの売上げですが、アメリカでは2012年の450万枚から2013年には610万枚まで増えています。
2002年から2012年までの、レコードの売上げ伸び率は250%にもなるそうです。
日本でも2009年には10万枚だったのですが、2013年は26万枚を越えています。
3年間で2.6倍という驚異的な伸び率ですね。
世界のレコード・CD合算で売れているのは、このような曲です。
Thriller Michael Jackson 約1億枚 (日本では250万枚以上)
やはり一番人気があるのはマイケルジャクソンの「Thriller」でしたね。
続いて、
The Bodyguard Soundtrack 約3200万枚
Their Greatest Hits 1971-1975 Eagles 約3200万枚
Come On Over Shania Twain 約3000万枚
Led Zeppelin IV Led Zeppelin 約2900万枚
The Dark Side Of The Moon Pink Floyd 約2800万枚
Jagged Little Pill Alanis Morissette 約2700万枚
1 The Beatles 約2500万枚
となっています。
ぜひレコードを聴いてみたいなという人はチェックしてみてはどうでしょうか?
まとめ
この数年、世界中でアナログレコードが復権し、売上げや愛好者が急激に増えています。
日本も例外ではなく、わずか3年でレコードの売上げが3倍近くになるという、レコードブームになっています。
そこで今回はなぜ若者がレコードを買うのか、レコードが売れているその理由や、レコードの魅力などを調べてみました。
それでわかったことは、取扱の手軽さや理論的な数値などでは、計ることができない価値があるものが、この世にはあるということでした。
その価値あるもののの一つが、アナログレコードということだったのですね。
レコードを聴いてみたいいう人がさらに増えるかもしれませんね。