赤城乳業の人気アイス、「ガリガリ君」が10円値上がりしてしまいました。
ガリガリ君といえば、さっぱりした味で人気の、暑い夏には定番中の定番アイスです。
それが25年間も値上げせず60円で売り続けていたのに、なぜ今になって値上がりしたのでしょうか?
これは気になりますよね。
そこで今回は、そのガリガリ君値上がりの理由や、大きな話題をよんだ赤城乳業のお詫びCMのことなどを見ていきたいと思います。
ガリガリ君が値上がりした理由は?
埼玉県深谷市にある赤城乳業の、人気アイスキャンディー「ガリガリ君」は2016年4月1日から70円に値上がりしました。
このガリガリ君は1981年に発売されたのですが、その当時の価格は50円でした。
その後1991年に60円になりましたが、その後は25年間も全く値上げはありませんでした。
25年間も価格を据え置いたものが、どうして今頃になって値上がりとなったのか理由が気になります。
調べてみると、これはやはり原材料費の高騰ということが、一番大きな理由のようですね。
赤城乳業によると、「木のアイススティックは3年前と比べて仕入れ価格が90%上がり、果汁は40%、物流費は10%高くなった。それに加えて人手不足による人件費の高騰も大きく、企業努力でのコスト削減の限界を超えた」とのことです。
確かに、このところ乳製品の価格は、他社でも値上がりしていて、ロッテや森永乳業、ハーゲンダッツ、グリコ、明治、井村屋、ブルーシールなどが値上げを発表しています。
このガリガリ君の製造方法ですが、「薄いアイスキャンディーの膜を作って、その中にかき氷を入れる」というものだそうです。
中に入れるかき氷は、同社では「ガリガリ氷」と言われるもので、増粘安定剤を天然ペクチンに変更、着色料は合成品の使用を一切止めるなどした結果、よりソフトな食感に変わったと言います。
そして、値上がりの理由となった主原因である木のスティックですが、これは100%中国産のシラカバを中国で加工したものです。
これは中国で加工から生産まで一貫して行っていますが、木材自体の価格上昇以外にも、輸出コストや人件費なども高騰し、それらも入れてのコストが9割上昇ということのようです。
中国産のシラカバの原価を調べたところ、2013年と2016年ではほとんど変わらないようですが1991年と2016年とでは、やはりかなりの価格差があります。
なので、木のスティックの価格が高騰していることは、事実のようですしそれが値上がりの理由になったようです。
「ガリガリ君」のライバルである、井村屋の「あずきバー」も、24年ぶりに値上がりしましたが、その理由もやはり木のスティックの価格上昇でしたからね。
ではこの木のスティックを国産化したらどうかと思うのですが、日本で作ったら2倍の価格でも作れないでしょうし、第一に材料のシラカバが確保できません。
とても無理ということですね。
尚、ガリガリ君の製造本数は、2013年度では史上最高の4億8000万本を記録したそうです。
「国民的美少女」ならぬ「国民的アイス」なのです。
というわけで、今回のガリガリ君の値上がりは、やむをえない理由があったわけです。
ガリガリ君のお詫びCMの狙いとCMを製作した理由は?
今回のガリガリ君の値上がりについては、大々的なお詫びCMが放映され、それがまた大きな反響を呼んでいます。
通常、値上げというものは、企業側から見てマイナス要因にしかなりません。
なので、できるだけ話題にならないようにしたいのが、普通です。
それをこの赤城乳業では、値上がりを逆手にとって、お詫びCMとして大宣伝をしたのです。
このお詫びCMの内容は、赤城乳業代表取締役の井上会長のアップで始まり、カメラが引いていくと、赤城乳業全社員がいずれも深刻な表情で並んでいるのが見えます。
そして全員が深々と頭を下げます。
このCMに使われているのが、往年のフォークシンガー高田渡さんが、45年前に作った「値上げ」です。
「値上げはぜんぜん考えぬ、年内値上げは考えぬ 今のところ値上げは見送りたい すぐに値上げは認めない~」と続く歌で、それをこのお詫びCMで起用しました。
「値上げは全然考えぬ」から始まるのですが、徐々にトーンダウンしていって、最後には「値上げに踏み切ろう」となるという、アイロニーに満ちた歌詞です。
あまりにも今回のお詫びCMにぴったりなので、このお詫びCM用に作られたと勘違いする人もでそうですね。
なぜこのようなお詫びCMを制作したのかという問いに対して、赤城乳業の担当者の回答は、
「前回の値上げの際にも、ガリガリ君が頭を下げてお詫びする新聞広告を出しています。 25年間、60円を守ってきたことが限界に達したことについて、申し訳ありませんというのが、私たちの実際の気持ちです」というものでした。
又、曲の選択については、広告代理店からの提案によるものだそうですが、この曲の使用を思いついた広告代理店の担当者は、お見事だと思います。
このお詫びCMは、4月1日と2日の限定だったそうですが、その後動画がアップされると、再生は現在で100万回を超えています。
このお詫びCMに対する視聴者の反応ですが、ほとんどは好意的なものです。
「良く耐えていたよ。生き残ってなおこの価格帯で勝負している事に勲章を授けてもいいくらい」
「ここまでする会社他に見たことない気がする」
「品質とパフォーマンスの為だろうし、素直に受け入れる」
「赤城乳業さん今後も頑張ってください」
「100円でもいいんじゃない? 頑張ってるよな」
「むしろ今まで値上げしなかった事に感謝する」
「今まで安すぎだし、70円でも安い」
「このご時世で100円以下で頑張ってきた赤城さんはえらい 味も努力が見られるます 苦渋の決断だったと思いますが、このくらいならファンは離れませんよ 今年の新しい味に期待しております」
「たかが10円程度値上げしただけで、死活問題だの文句言う奴は小さい人間」
日本国内だけでなく、中国にもこのニュースが伝わると、中国のユーザーからも大きな反響がありました。
「これは感服せざるを得ない」
「25年間で10円しか値上げしないのに謝るなんて、参ったな」
「みんなが日本に買い物に行くのも理解できるよ」
「日本人はやはり恐るべき民族だ」
ところで、赤城乳業がこのようなお詫びCMを作り、大々的に宣伝した本当の狙いは、どこにあったのでしょうか?
前にも書いたように、メーカーとしては値上げは大きなデメリットとなります。
普通ならなるべく話題にならないように、しれっと通したいところでしょう。
それをこの赤城乳業では、莫大な費用を投じてお詫びCMとして大宣伝をしたのです。
ではその狙いとは何かと言うと、
勿論、会長以下全社員が深々と頭を下げることで、会社としての誠意を見せる、という狙いもあるでしょう。
しかしそれ以上に、その誠意を見せるための過剰な演出が、大きな話題となり、結果的に赤城乳業への好意となって返ってくることを、事前に予測していたのではないでしょうか?
つまり、デメリットをメリットに変えるという、見事な手法ですね。
そして見事にその狙いは的中しました。
この手法を考えついたのが、赤城乳業自身なのか、或いは広告代理店なのか、そのあたりはわかりませんが人の心を掴む見事な手法です。
そしてその結果としては大成功となったわけです。
これほど大きな反響を呼んだガリガリ君は国民的アイスとしてこれからも愛されていくことでしょう。
まとめ
今回のガリガリ君の値上がり問題は、わずか10円の値上げであり、しかも25年間も価格を据え置いてからのもので、通常なら大した話題にもならないはずなのです。
それが大きな反響を呼んで、結果的にはメーカーの赤城乳業の評価も上がりました。
商品の値上がりで好意的な評価や反響があるのは、あまりみられないことだと思います。
好意的な評価や反響が多いことは、赤城乳業が良心的なメーカーであることも、大きな要因でしょう。
しかし、それにプラス値上げのお詫びCMでの演出も、その評価や演出に寄与していることも間違いないのではないかと思います。
今回は「ガリガリ君が値上がりした理由は?赤城乳業のお詫びCMの狙いも」として、ガリガリ君の値上がり問題を書いてみました。